この記事は、
- ネタバレなしでどんな作品なのか確認したい人
- 「向日葵の咲かない夏」を読み終えていて、他の人の感想が気になる人
に参考になる記事を書いていこうと思います。
『向日葵の咲かない夏』を読み始めたきっかけ
以前書いた本のレビュー記事の中でも話にしていた、
YouTubeの「ほんタメ」にておすすめされていた本になります。
本のレビュー記事はこちら:銀座のおやつがたくさん出てくる!坂木司「おやつが好き お土産つき」
出演しているたくみさん(ヨビノリたくみ)が激推ししており、気になって購入しました。
グロ耐性がないので、ビビってしばらく積んでおいたのですが、
どうやら、残虐な描写シーンがあるわけではなさそう。
ずっと気にはなっていたので、夏が終わる前に読みたい!と思い、
そして無事読了しましたので、書き残しておきます。
結論、出来事として語られるシーンはありましたが、
執拗に残虐なシーンが描写されているわけではなかったので、読み進められました!
ただ作中ずっと薄暗い雰囲気が続くので、感受性や共感能力が高すぎる方は、心に来そうだなとは思います。
道尾秀介:書籍情報
- 著者:道尾秀介(みちお しゅうすけ)
- 出版年:2008年(新潮社より刊行)
- ジャンル:ミステリー・ホラー小説
『向日葵の咲かない夏』あらすじ
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。
道尾秀介著.向日葵の咲かない夏.新潮文庫,2008,裏表紙より.
道尾秀介のデビュー2作目にあたる本作は、
その独特な結末と解釈の幅広さから「トラウマ小説」としても知られ、今も議論され続けている話題作。
2009年には「年間ベストセラー」文庫部門で1位を獲得しています。(オリコン調べ)
『向日葵の咲かない夏』 感想:ネタバレ“なし”パート
「トラウマ小説」と名高いが、私は“病まずに楽しめた”
読む前はちゃんと読了できるのか不安だったのですが、
いざ読み終えると、私にしては結構なスピードで読み終えることができました。
なんだったら、先が読めない素晴らしい作品だ。
これが何故トラウマに…?と、世間の評価とのギャップを感じました。
対して、パートナーは心理的に読み進めるのが辛かった様子。
2人とも、文体はとても読みやすかったのには同意でした。
そこで、理由を考えてみたのですが、
「没入して感情で読むと辛い」けれど、「分析目線で読むと考察が楽しい」という
読み手の姿勢によって体験が変わる小説なのでは。と思いました。
私は、紹介動画を見ていたので、この本が
- ミステリーである点
- 結末の解釈が複数ある点
を事前に把握した状態で読み始めていました。
なので、どこで印象操作があるんだろう?どこが伏線なんだろう?
みたいな、読み方をしていました。(書き手にはやめて欲しい読み方ですよね、、笑)
つまり、感情移入より“事実を分析する読み方”をしていたんです。
一方、パートナーは、主人公の気持ちに沿って物語を追っていく読み方でした。
なので、小説内の状況や環境に没入してしまい、結果として、読み手の気持ちが引きずられてしまったのではないかなと思います。
『向日葵の咲かない夏』考察:ネタバレ“あり”パート
※ここからは、小説の本文に触れつつ私が感じた考察を書いていきます。
ご理解の上、記事をお楽しみいただけたらと思います。
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全体を通しての感想
だいぶ疑いながら探り探り読んでいたので、犯人が途中で分かったり、初めから妹の描写が少なすぎてうん?この妹いるんか…?となったりしたのが大体あっていて嬉しかったです。
妹のミカやトコ婆に関して:
妹に関しては、違和感はあったけど母とミチオに見えている妹が違ったのは分からなかったです。
違和感というのは、
母にとって大事な妹ミカを、嫌悪しているミチオが連れ回している事に何も言わないところとかですかね。
あと、まさかトコ婆が人間じゃなかったのは、
小父さんも”ばあちゃん”と言ってたので気づかなかったので驚きましたね。
そりゃ、犯人も慌てるわけです。
「悪い王様」の解釈:
私は、この「悪い王様」がずっと結末に関係すると思って注意深く読み込んでいました笑
結果はまぁ、結末にはそこまで関係していなかったかなと思いますが、この作中作を入れた意図としては
Sくんが求めていたものの比喩として挿入されたのかなと思っています。
王様は、「希望」が強く現れる目を食らうことが好き。でしたよね。
泰造と岩村先生は、Sくんから与えられるもので欲を満たしていました。
2人から向けられる眼差しには、「希望」が含まれていたと思います。
Sくんは、差し出すことで向けられる「希望の眼差し」を求めていた。のかも。と思いました。
結末の解釈と心に残ったフレーズ:
最後の終わり方で真実は、3パターンぐらい考えられるらしいですが(よびのりさん談)
私は、2パターンしか分かられませんでした笑
私が考えたパターンは下記です。
- 小説通り、Sくんは自殺。犬猫殺しはSくん。泰造とダイキチはミチオ。その他は事故。
- Sくんは自殺。犬猫殺しはSくん。妹は事故。それ以外を殺したのはミチオ。
個人的には、下が濃厚かもな〜と思っています。皆さんの真実はどんな感じでしたでしょうか?
最後に私が心に残ったフレーズを書き留めておきます。
「誰だって、そうじゃないか」
「僕だけじゃない。誰だって、自分の物語の中にいるじゃないか。自分だけの物語の中に。その物語はいつだって、何かを隠そうとしてるし、何かを忘れようとしてるじゃないか」
の一節でした。
いや〜、ホントそうだなぁって思いましたね。
覚えていることって、自分にとって都合がいい悪いに限らず、生きる上で必要だと判断したこと。
だと思っているので。
『向日葵の咲かない夏』記事まとめ
結論、私はこの本を読めて良かったなと感じました!
ビビリな私としては、“考察してやるぞ!”と構えて読むと、
感情に引き込まれ過ぎることなく読み進められるのでは無いかなと思いました。
スプラッタが苦手でも、大丈夫です!
心理的スリルを味わいたい人にはおすすめなので、興味がある方は手に取ってみることをオススメします〜!

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